「国際赤十字・赤新月社連盟」(本部ジュネーブ)が16日、「世界災害報告書2012」を公表した。東京電力の福島第一原発の事故を、「科学技術の事故によって(住民が)移住させられた、人道危機だ」と位置づけた。
報告書のテーマは「強制移住と移動」。福島の事故は、途上国を中心に開発にともなう強制移住者が推定1500万人いると説明した章の中で取り上げ、同様な人道危機だとした。
原発の20キロ圏内からの避難について「政府の指示通りに避難したのに、結局、放射線濃度が高い場所に行き着いた」とする住民の声を載せ、「怒りと苦痛、不安がある」と分析。被曝(ひばく)については、「チェルノブイリ原発の事故時よりもはるかに下だ」としつつ、「長期的にどんな影響があるのかを明らかにするのは難しい」と悩む医師の言葉を引用した。子どもを外で遊ばせない親たちの声も伝え、日本赤十字社が屋内の遊び場をつくったことを紹介したが、まだ足りない、とも指摘した。
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